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「あの…課長、話したくなければ…」
「いや。聞いてほしい。俺もずっと、どこかで吐き出したかったことなんだ」
「課長…」
課長がこんな風に弱々しいなんて、初めてかも…
いつもキビキビとリーダーシップを取る課長とのギャップに胸が詰まる。
「ショックだった。まさか自分が…って思ったよ。だけど、俺よりカミさんの方がショックを受けてた。子供が好きな奴だったからね…」
課長はコーヒーカップを持ったまま、遠い目をして窓の外へと視線を動かした。
奥さんのことを思い出しているのかもしれない。
「それで治療というか…漢方を呑んだり、セックスのタイミングを考慮したり…子供を妊娠するために色々と試させられた。それが俺には苦痛でたまらなかった…」
不妊治療は、経済的にも肉体的にも負担がかかり…その上、精神的にも辛いというのは女性でもよく聞く話だ。それは男性でも同じだろう。
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