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白い息が目立つ、肌寒い朝。
「ありがとうございました」
「今日はゆっくり休めよ」
課長宅に1泊。
そして、車で私をマンション前まで送り、課長はそのまま出勤した。
私はまだ本調子じゃないからと強制的にお休み。
初っ端からこんなに甘やかされて、大丈夫かな?
慣れない擽ったさにニヤけながら、マンションのエントランスへと入る。
そこで
「朝帰りとは…ご苦労なこって」
一瞬で身体が固まる。
「まさか、出迎えになるとはね。てっきり出勤の見送りするものだと思ってた」
口の端で冷たく笑う岸谷が目の前にいる。
「何、してる、の…」
動揺で口元が震えている。
岸谷の姿は柱の影に隠れていて、声を掛けられるまで全然気付いていなかった。
「電話もメールも無視なんだから、直接会うしかないだろ」
淡々と話す岸谷。
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