11 #2

2/6
1159人が本棚に入れています
本棚に追加
/35ページ
白い息が目立つ、肌寒い朝。 「ありがとうございました」 「今日はゆっくり休めよ」 課長宅に1泊。 そして、車で私をマンション前まで送り、課長はそのまま出勤した。 私はまだ本調子じゃないからと強制的にお休み。 初っ端からこんなに甘やかされて、大丈夫かな? 慣れない擽ったさにニヤけながら、マンションのエントランスへと入る。 そこで 「朝帰りとは…ご苦労なこって」 一瞬で身体が固まる。 「まさか、出迎えになるとはね。てっきり出勤の見送りするものだと思ってた」 口の端で冷たく笑う岸谷が目の前にいる。 「何、してる、の…」 動揺で口元が震えている。 岸谷の姿は柱の影に隠れていて、声を掛けられるまで全然気付いていなかった。 「電話もメールも無視なんだから、直接会うしかないだろ」 淡々と話す岸谷。 ・
/35ページ

最初のコメントを投稿しよう!