13 #2

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13 #2

怖い… 凄く怖い… もう一度、水を飲む。 言えるかな… 違う。 絶対に言わないといけないんだ。 懸命に自分に言い聞かせる。 言わなければならないことを、何度も何度も頭の中で繰り返す。 すると、ドアが開いて、課長が顔を見せた。 「おう。待たせて、すまん」 「いえ」 「あれ?飲んでないの?」 「いや…胃の調子がまだ…」 「ああ…そっか」 「はい。だから、課長は飲んでくださっても…」 「じゃあ、お言葉に甘えて」 課長は店員を呼び、ビールと適当に食べ物を頼んだ。 オーダーがテーブルに揃い、ネクタイを緩め、シャツのボタンを一つ外した課長。 「お疲れ」 「お疲れ様です」 課長はビール、私はオレンジジュースでコチンと乾杯。 リラックスムードになる課長とは反対に、私の緊張は尋常じゃなく高くなってゆく。 ・
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