15 #2

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15 #2

「仕事より何よりも、大切なものが出来ただけですよ」 微笑みながら、自分のお腹をポンポンと優しく叩く。 決心してから吹っ切れたのか、自然と笑顔になる。 この子がいれば大丈夫。 為せば成る…って奴だ。 不思議な自信。 「マジかぁ……」 小野寺が気の抜けたような声を出す。 「マジかーじゃないですよ!仕事辞めたら生活困っちゃうじゃん!」 「それがさぁ…仕事仕事で生活してきたから、ビックリするくらいお金を全然使ってなくて、貯まってんのよ、これが。アハハ!」 堀ちゃんの心配を、井戸端会議のオバサンの如く手をヒラヒラさて、笑い飛ばす。 浜本との結婚も考えていたから、もともと貯金はしていた。 で、3年前の負のエネルギーが、やけくそで散財という方向ではなく、ひたすら仕事へと向かったのが功をなした。 失業手当も出るだろうし、1年間くらいはなんとかなる。 ・
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