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店内の左奥の方から席が埋まっていたので、私達はL字型になっているカウンターの右手奥へと移動し、そこの端っこに二人で座った。
「二人分、お願いします」
「はい。二人前ね」
岸谷は席に座るなり、メニューも見ずに注文。
「ここさ、メニューないんだよ。女将さんおススメの日替わり定食のみ」
「へぇ…」
なるほど。周りを見ても、お品書きは全く存在しない。
「我儘でごめんなさいね。ここは私が趣味でやってるようなもんだから」
女将さんと思しき小さな老婦人が、軽く会釈して微笑んだ。
そして、狭いカウンター内で、テキパキと手際よく料理を器に盛り付けてゆく。
「はい。お待たせ」
目の前に配膳されたのは、とっても美味しそうな和定食。
さんまの塩焼き、ほうれん草の白和え、南瓜のそぼろ煮、わかめの味噌汁にご飯。
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