1006人が本棚に入れています
本棚に追加
そして…凛君の親である二人も、未だに危なっかしい。
岸谷さんに婚約者がいるって知った時、係長を煽った自分を死ぬほど後悔していた。
だけど、二人が相思相愛なのは見ていて解ったし、係長は妊娠までしたから……答えは決まりきっていると思っていた。
だから、二人の選択は全くの予想外で、衝撃を受けた。
全然理解出来なかったし、腹が立った。
でも、今なら……少しだけ解る気がしている。
「…会いたい…ですか?」
恐る恐る様子を窺うように、つい小さな声で尋ねていた。
すると、森園係長はきゅっと唇を噛み締めて、天を仰いでから、私へと視線を移した。
「会わないよ」
真っ直ぐに見つめる瞳は、固い意志の表れ。
それじゃあ、ちゃんと答えてませんよ……
会いたいか、と問いたのに、答えには肝心な言葉が隠れている。
だけど、私は隠れた言葉を敢えて尋ねることはしなかった。
最初のコメントを投稿しよう!