眠れない夜に  one night side H #2

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そして、私の肩を掴んで、そっと身体を離し、凛君を降ろした。 「情けないけど、さすがに厳しくて困ってたんだ。だから助かる。あ!でも、改には釘刺しとして。ここまでだって」 「わかりました」 人差し指を立て、念押しする係長の指示に、こくんと頷く。 すると 「ほー」 「ほ?」 「ほーぉ」 私に向かって、ほーほー言いながら手を伸ばす凛君。 何を訴えてるのか解らず、キョトンと首を傾げる。 「ねぇ……凛、堀ちゃんの名前覚えたんじゃない?」 「ええ!?」 「ほーぉー」 切れ長の綺麗な瞳が、私を見上げている。 確かに私を呼んでいるようだ。 子犬のような愛くるしい姿に、胸がきゅんきゅんだ。 「やーん!どうしよう!凛君、私をお嫁さんにして!」 またも凛君に抱きつく。 「ちょっと、それ、いつの話になるのよ…ったく」 やれやれと呆れ顔の母上殿。
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