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そして、私の肩を掴んで、そっと身体を離し、凛君を降ろした。
「情けないけど、さすがに厳しくて困ってたんだ。だから助かる。あ!でも、改には釘刺しとして。ここまでだって」
「わかりました」
人差し指を立て、念押しする係長の指示に、こくんと頷く。
すると
「ほー」
「ほ?」
「ほーぉ」
私に向かって、ほーほー言いながら手を伸ばす凛君。
何を訴えてるのか解らず、キョトンと首を傾げる。
「ねぇ……凛、堀ちゃんの名前覚えたんじゃない?」
「ええ!?」
「ほーぉー」
切れ長の綺麗な瞳が、私を見上げている。
確かに私を呼んでいるようだ。
子犬のような愛くるしい姿に、胸がきゅんきゅんだ。
「やーん!どうしよう!凛君、私をお嫁さんにして!」
またも凛君に抱きつく。
「ちょっと、それ、いつの話になるのよ…ったく」
やれやれと呆れ顔の母上殿。
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