2894人が本棚に入れています
本棚に追加
/22ページ
そして、朝、お別れの時間。
「寂しいなぁ…」
「また遊びにおいでよ」
「はい」
私は身支度を整えながら、元気よく返事をする。
凛君が私の足元へやってきて、手を伸ばして、抱っこをせがむ。
「凛くーん」
抱っこして、頬をすりすり。
ぷにょぷにょの肌触りが堪らない。
「やーん。可愛いなぁ。お持ち帰りしたい!」
「フフフ…それはダーメ」
私の元から、ふわりと凛君を抱きあげた係長。
「この子は、私の希望の光だから」
我が子を見つめる瞳は、愛おしさに溢れている。
そっか……係長はちゃんと幸せなんだな…
私は、未婚の母になった苦労ばかりを気にしていた。
係長は損をしてるって、どこか不憫に思っていたんだ。
だけど、苦労はあるかもしれないけれど、係長はその中にある幸せをきちんと見つめて、前へと進んでいる。
最初のコメントを投稿しよう!