眠れない夜に  one night side H #2

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「……改の奴…」 観念して正直に白状すると、係長は頬ふくらませ不機嫌顔。 「やっぱり、それ、ダメですか…?」 眉尻を下げ、情けない顔で係長を見上げる。 すると、唇と引き締め、首を縦に振った係長。 予想した通りかぁ… 「正直言うと、これを渡すか渡さないか、ずっと悩んでました」 「え?」 「本当は岸谷さんが直接係長を支えるべきなのに…養育費も出してないし」 「それは私が拒否ったからよ?」 「知ってます。だけど、こんな形でちょっとでも援助しようなんて、姑息な岸谷さんにムカついて」 「ブッ!アハハハ!」 係長は吹き出し、笑い始めた。 「本当に堀ちゃんは改に厳しいね」 「あったり前です。憧れの係長を、私から取り上げたんですから」 つんと顎を上げ、不満を漏らしたけれど、すぐにしゅんと頭を垂れた。
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