2894人が本棚に入れています
本棚に追加
/22ページ
「……改の奴…」
観念して正直に白状すると、係長は頬ふくらませ不機嫌顔。
「やっぱり、それ、ダメですか…?」
眉尻を下げ、情けない顔で係長を見上げる。
すると、唇と引き締め、首を縦に振った係長。
予想した通りかぁ…
「正直言うと、これを渡すか渡さないか、ずっと悩んでました」
「え?」
「本当は岸谷さんが直接係長を支えるべきなのに…養育費も出してないし」
「それは私が拒否ったからよ?」
「知ってます。だけど、こんな形でちょっとでも援助しようなんて、姑息な岸谷さんにムカついて」
「ブッ!アハハハ!」
係長は吹き出し、笑い始めた。
「本当に堀ちゃんは改に厳しいね」
「あったり前です。憧れの係長を、私から取り上げたんですから」
つんと顎を上げ、不満を漏らしたけれど、すぐにしゅんと頭を垂れた。
最初のコメントを投稿しよう!