眠れない夜に  one night side H #2

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こんなにも沢山の人間がいて、そんな人に巡り合える確率なんて、どれだけあるんだろう? 「……あー、なんか、私には無理そう」 途方もない確率に、諦めの声が漏れる。 「ちょっと、何、最初から諦めてんの?そんなの解んないじゃん。私だって3年も男いなくて突然よ?それに、34年生きてきて、初めてだったんだから」 「……なるほど」 実体験を伴う係長の言葉には説得力がある。 「でもなぁ…だけどなぁ……」 だけど、私は言葉を濁す。 「どしたの?堀ちゃんらしくないなぁ…」 基本的にハッキリしないと気が済まない私の性格を熟知している係長だからこそ、こんな煮え切らない私の態度に疑問を感じたのだろう。 私が恋愛に気後れしている理由。 それは、男性不信だけじゃない。 「あの……実は……」 上目遣いで窺うように係長を見つめる。
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