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僕は走った。
ひたすらに走った。
まるで増え鬼の終盤自分以外は皆鬼のような絶望的状況でも生き残ってやる!という生にしがみついた決意の如く必死に走り抜ける様のような軽快な走りを繰り出して学校へと向かって行った。
いつも通る商店街。
いつもと何かが違うとすれば火の海ということ。
そしていつも通る公園。
いつもと何かが違うとすれば火の海ということ。
そしていつも通るコンビニ。
いつもと何かが違うとすればエロ本を立ち読みしているおっさんの量が普段の平日の六倍はあるということ。
そしていつもとは違う景色に心を削られながら学校へたどり着くとそこはまるで地獄絵図であった。
艶の通った最高の髪、清楚、おしとやかな学園のマドンナでさえもグランドで砂を頬張っている。
しかし、そこはやはりマドンナ。
グランドの砂を頬張っていると言うマジでキチガイな行動でさえ愛おしくとてもいやらしい行為に見えてくる。
そのほかにも全学年屈指の体育会系の体育委員長、小島君はグランドの鉄棒にまたがりまるで鉄棒とセッションを奏でているかの様にリズミカルに回転し鉄棒と一体になっていた。彼はもう小島君ではなく鉄棒だ。
そんな光景に文字通り空いた口が塞がらない僕にまた不意にとてつもない攻撃が仕向けられた。
刃渡り数十センチのチワワが飛んできたのだ。
僕はすかさず鋭利なチワワをよけた。
するとグランドから僕に向かい近づいてくる一つの影があった。
そう、体育科の教師……尾根江だった。
「あんら鈴木くぅん、遅刻時ゃないのぉ……遅刻は…ダ、メ?」
ちなみに尾根江は白のタンクトップに真っ黒な肌のガチムチ。
かなりのボディービルダーだ。
そんな尾根江という最強の刺客が僕に仕向けられたのだ。
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