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ほどなくして志津子も真弓に気づいた。
「本当だ……」
志津子はまだ気づかぬ真弓を見つめながら、
襟を立てて深刻な表情を作った。
「お姉さ~~~ん」
真弓は、突如駆けて来る画一に驚きながら、
その先に佇む志津子を見つけて、胸中は穏やかではなかった。
「はぁ…はぁ…
お姉さん! 僕はお姉さんとの固い約束を守ってるよ!」
画一はそう叫びながら真弓の手を握って、はしゃいだ。
「そうか画一。お前はお姉さんとの約束守ってんのか。偉いぞ」
真弓は屈んで画一の頭を撫でながら、
妙なところが絵一に似てると思い、画一を抱き締めた。
いつまで経っても師走の坂道は行き交う人々で混雑し、
誰も彼もが真っ直ぐにとは、なかなか歩き辛らかった。
そんな中を、真弓は画一の手を握り締めながら、
佇む志津子の下へと赴いて行くのだった。
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