第一章

4/54
116人が本棚に入れています
本棚に追加
/64ページ
「は?」 思わず間抜けな声を出してしまったが、それも仕方ないだろう。 何故なら千里さんの言った言葉があまりに衝撃的、というよりも非現実的だったからだ。 「俺の話は一度で聞け。何度も言わせんな。」 ニタリと意地の悪そうな笑みを浮かべてそう言い放つ千里さんに、俺は相変わらず空いた口がふさがらなかった。 「普通に学校に行けっつったんだよ。」 千里さんが再度、同じ言葉を繰り返す。 先程の笑みからしてその言葉は嘘ではない。 そう分かってしまったから余計に俺は戸惑った。 今まで人殺して生きて来た人間に学校なんざ、不似合い過ぎて笑えるだろう。 そんな俺の思考さえ千里さんにはお見通しの様だ。 「命令だ、響也。従え。」 相変わらずの笑みで、しかし声だけはやけに重い。 そう言えば、俺が反抗することなどないとわかっているが故の言葉だろう。
/64ページ

最初のコメントを投稿しよう!