意地悪で、優しくて、あったかい。

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「豆子、帰りますよ?」 「無理です」 「無理っつたな、お前」 だって無理なんですもん。 おでこはもう机に密着したまま離れません。 「安藤先輩」 美佳が身を乗り出して、先輩との間に入ってくれる。 「美佳ちゃん、怖い顔してどうしたの?」 爽やかそのものの先輩の声。 あぁ、基本美佳には外面仕様なんですね。 「どうしたもこうしたもありません。 安藤先輩、今日は詩と一緒に返すわけには行きません」 「どうして?」 前からカタン、と音がする。 先輩、前の席に座ったのかな。
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