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「だ、ダメなものはダメなんです。
先輩、もっと詩のこと大事にしてあげてください」
美佳のその言葉に先輩はすぐには返さない。
代わりに私の髪にあったかいものが触れる。
髪の毛を伝ってくる見なくてもわかる先輩だけがくれる、刺激。
「美佳ちゃん、あのさ」
「は、はい……」
ワントーン低くなった先輩の声。
今にも舌打ちが飛び出そう。
「俺、今までにないくらいコイツのこと大事にしてるよ?
これ以上どうすればいいのかな」
言葉とはうらはらに先輩が頭を抱えたままの私の手首をギュッと掴む。
全っ然大事になんかしてないーっ!
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