豆子とフェロモンと。

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「お前、もう少し俺に慣れろよ」 そう言って私の頭にぽん、と手を置く先輩。 またそこが、じんわり熱を持つ。 安藤遼、別名フェロモン先輩。 私、 渡辺詩、別名豆子。 名付け親はもちろん目の前のこの人。 先輩はネーミングセンスが全くないと思う。 なんでよりによってそんな可愛げも何もないあだ名。 私と先輩は知り合って、まだ一週間。 どちらかと言えば目立たない部類に入る私が先輩に慣れろって方が無理がある。 窓ガラス越しにセミが鳴いてる。 暑いのは夏のせいだけじゃない、 ……そんな、気がする。
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