起床

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起床

夢を見ていた。長い夢だった気がするけれどあまり覚えてない。 夢か現実か分からなくなるようなただ親と何か話して、ご飯を食べて、目が覚めたから夢だと分かるような、そんな夢。 私は夢なんて見ない方でこんな夢は初めてだった。 何となく嫌な気配。何か起こっているの? いつも通りの部屋。何も変わらない。きっと気のせい。 時間は、8時?…寝過ごした!もう学校が始まってる。 仕方ないどうせ遅刻だからとゆっくり着替える。 …?音がしない。 いつもなら聞こえる子供たちの楽しそうな声、母親だと思われるいってらっしゃいの声、通勤ラッシュの車の騒音。 何かが起こっているの? 無意識に震える手でカーテンをつかむ。馬鹿らしいと思いながら一気にカーテンを引っ張った。 …何だ。何も変わらない。家やマンションが建ち並んでいて、目の前には川が流れていて、なんて言ったかしらあの川の名前は、なんて少し考えてしまった私に苦笑した。 そして気づいた。誰も、人1人いない。まるで私だけこの世界において行かれたみたいに。 馬鹿らしい。そんなことあるはずない。そう思ってもいつもでは有り得ない景色。私の中に渦巻く違和感。 孤独。焦燥。混乱。恐怖。得体の知れないものに心臓を鷲掴みされているような。 突然金切り声が鳴り響いた。 悲鳴。そう理解するまでに時間がかかった。…悲鳴? そう外から悲鳴が聞こえた?…悲鳴? 視線をゆっくり窓の下に下ろした。 …アレは何? 人間?…違う。動物?…違う。 だったら何。まるでゾンビ? いや、そんなはずはない。そんな映画みたいなこと。だってあれはCGで作られたもので。 自分自身に言い聞かせるように目に見えるアレを否定した。 赤、アカ、あか。 急に目に入ってきたアレの後ろにいた女の人。…いや、女の人だった体。 女の人の頭がまるで石ころのように転がった。 頭? 理解した瞬間にきた猛烈な吐き気。堪えきれずに嘔吐した。それでも私はアレから目が離せない。 振り向くな。逃げなければ。ドウスレバイイ? 頭はパニックで、体は凍りついたように動かない。 視線を無理やり下に落とした。少し落ち着いてきた。大丈夫。きっとこれは夢だから。 そっと目線を戻す。ほら、アレはいない。寝ぼけてたのよ。 そう思いたいのに。アカ。それがある。なのに女の人はいない。 今見たものはナニ?
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