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視界に時計が入り込む。8時10分?起きてまだ10分しか経ってないの?
…学校。あんな事があったのに行けるの?
冷静になれ、冷静になれ。
どうして女の人はあそこにいた?それまで誰もいなかったのに。…人?
外にはもう誰も、何もない。学校に行ったら誰かいるかしら?
でも外でアレに会ったら…。行けない。休もう。休みの電話しないと。
電話!目が覚めたように携帯をひっつかみ、母親の電話番号を押す。
お願い、出て。ワンコール、ツーコール…早く。
「もしも「…ママ!!」」
出た。ママの声だ。急くようにママに呼びかけた。
「どうしたの?急に。この時間はママ仕事なんだから。何かあったの?」
…いつも通り?
「…ママ、ママの周りは人がいる?」
「何言ってるの。当たり前でしょう?仕事場にいるのよ。本当にどうしたの?熱でもあるんじゃない?もしそうなら今日は学校休みなさいね。」
「…分かった。」
自暴自棄になって携帯を切った。だっておかしい。なんで?私だけがおかしいの?どうしてママの周りには人がいるの。どうして私の周りには人がいない?
…何かが落ちる音。
恐怖心に侵されながら振り向く。ベランダに人?
頭が理解する前に悲鳴が口を突いて出た。反射的にベランダとは逆の玄関に走る。
もう、何も考えれない。そのままローファーをはいて駆け出す。玄関を出るその時ベランダの方から重たいものが落ちる音。
バッと振り返ると、目があった。…アレだ。
逃げなきゃ、死ぬ!!
こんなことになるならマンションの3階にするんじゃなかった、なんてどうにもならないことを考えながら階段を一気に駆け下りる。
パニックになりながらも足は止まらない。恐怖が私を埋め尽くしている。
腕を引っ張られる。小さな悲鳴が口から漏れる。
殺される。
死にたくない!!
なりふり構わず抵抗する。
「死にたくないなら落ち着け。息を殺せ。見つかれば死ぬ。」
男の人の声。…人?私以外の人。それだけで嬉しくて涙が出そうになった。
私の口を押さえている手が震え出す。
連れ込まれたマンションを出て直ぐの倉庫。かすかに外が見えそうだが私からは見えない。
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