第1章 ようこそ幻想郷へ

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「あら、それはどうしてそう思ったのかしら」  タバコをポケットから取り出して銜え、火をつけて煙を吐く。 「拉致った張本人のお姉さんがわざわざ出迎えてくれたんだ。それなりに理由があるんじゃねーの? どんな奴を連れてきたのか、ちゃんと狙った奴を連れてきたのか……」 「ほう……」 「とりあえずお姉さんの話を聞くから愛銃返してくれる?それ本当に大切な物だから」  空中から降ってくる白銀の銃。月の光を反射して冷たく光るそれを拾い上げ、コートに収める。 「約束通り聞いてもらうわ。あなたは拉致されたのではなく、ここに迷い込んだの。私の能力によってね……」  紫の発言に、違和感を感じてから今まで起きたことを瞼を閉じて整理する充。 (能力……迷い込んだ……空中から降ってくる……地面から出てくる……コートからくすねる……なるほど) 「何かわかったようね」 「お姉さんの能力はワームホールのようなゲートを繋げるってところか。銃をくすねたのも、返したのも、登場シーンも、そして―――俺が迷い込んだ原因もそのゲート。どうだ?」 「ご明察♪」 「で、俺は帰れんのか?」 「無理ね(キリッ」 「あ?(威圧)」 「じゃあ帰れない理由を見つける、という課題を貴方に与えるわ」  扇子で口元を隠し、クスクスと笑う紫。 「はぁ……で、その課題提出はいつなんだ?」 「わかった頃に聞きに行くわ♪それじゃあもう眠いし、私は帰るわね」  足元から地面に入っていく紫を止めようとするも、既に存在が消えていた。 「どうしろって言うんだよ……。」 「これを言い忘れていたわ!ようこそ、幻想郷へ♪」 「ちょっとま―――ってもういねぇのかよ。とりあえず人の痕跡を探してそっちの方へ歩くか……。」  時刻は5時前……まだ月は出ている……。おそらく日の入りは午後6時半……街灯もない場所だし、約12時間は誰も通っていないと考えるのが自然か? ……現在積雪は15cmほど、足跡が残っているかもしれん。  サバイバルナイフを取り出し、近くに生えている竹に傷を入れて目印にする。 「1人が長いと独り言が増えちまうな……やれやれ。にしても八雲紫だっけか、堪んねぇな……なーんてな」  足跡を探すべく、竹に傷を入れながら歩き始めた。  
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