始まり

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なんていうことない、普通の普通の人。 それが私だと思う。 顔も容姿も人並み。 並外れて可愛くもないし、美人でもない。 体型はちょっと、ぽちゃっというか、ダイエットするべきかなぁと思うような無駄な肉もついているけど、デブと言われるほどでもなく。 骨と皮だけのようなガリガリでもなく。 髪は色をいじったりもしない、天然の黒で。 肩より少し長いくらいだけど、だいたいは一つにまとめてピンでとめたアップスタイルが多いかもしれない。 目はそんなにいいわけでもないけど、眼鏡を必要としないくらいの視力はあって。 背は157と少し低めかもしれないけど、目立って低く見えるほどでもなく。 お洒落には気を遣っているつもりだけど、選ぶものはシンプルでナチュラルカラーといわれるものばかり。 アクセサリーは金属アレルギーになったことあるから、あまりつけない。 ……どこにでもいる人。 本当にそんな感じの印象を持たせるのが私という人かも知れない。 普通に専門学校に通って資格とって卒業して。 今は事務の仕事をしているOLというもの。 大きな会社というものでもなく、大きなビルで制服で働いているようなOLでもなく。 こじんまりとした小さな工場の事務。 事務員3人はいる。 でも専務は社長の奥さんみたいな、本当に小さなアットホームな会社。 もちろん、就職活動しているときには、大きな企業を狙ってみたりもした。 ことごとく落ちて、高校の恩師の紹介でこの小さなところに入った。 アットホームに慣れ親しんでしまうと、これでいいやと思ったりもする。 朝に工場の人が飲むお茶をやかんで沸かしていたり、暇な時は掃除したり、これって残業?みたいな無駄な時間を過ごしたりもする。 それでも、まあ、普通のOL。 普通じゃないのは…、いい年頃というやつだと思うのに、恋愛もしていないし、結婚相手というものの影がまったくないことかもしれない。 …いいんだけど。 いいんだけど、友達の結婚式に招待されることが増えると、さすがに自分の人生、本当にこれでいいのかと考えることもある。
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