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恭太の成長は早産で生まれた割には歯がはえるのが早かったり、はいはいできるのが早かったりしたのに、立ち上がることがなかなかできなかった。
畳の上を元気にはいはいしまくってくれて、縁側にいつか転げ落ちて怪我をするんじゃないかと、目を離すのがこわかった。
8月、恭太も1才になる。
体型は赤ちゃんじゃなくなって幼児になってきている。
お母さんが買ってくれた甚平を着せて、浴衣を着た彼が抱き上げて、恭太にとっては初めての露店。
夜のほうが人出が多いから、昼間。
私も浴衣を着て、一昨年の花火を思い出す。
今日のこの露店も花火のお客様に向けて開かれているもの。
夜には花火があがる。
彼が恭太を抱っこしてくれているから、手を繋ぐこともできない。
はぐれるのが嫌で、私が彼の浴衣の袖を握ったり、腕を握ってついていく。
今年も金魚鉢の中で金魚が越冬してくれて、金魚すくいはやめておこうと思う。
あの金魚がいなくなってから金魚すくいをしようと思う。
小さな金魚だったはずなのに大きくなってるし、いなくならないような気がしているけど。
彼は恭太の玩具になりそうなもの、恭太が喜びそうなものばかり見ている。
恭太が歩ければいいのだけど、たっちもできない。
彼が支払おうとするときは私が恭太を抱っこ。
おとなしくベビーカー使えばいいのに、ベビーカーは他の人の邪魔になりそうだからと、抱っこで連れていくことにしたのは彼。
でも夏にずっと抱っこしているのは暑い。
他の子よりはまだ小さいけど、接する面積は去年より確実に広い。
しかもしがみついてきてくれるから、べたっとくっつく。
夜ご飯も露店で買って済ませようとして、結局、私が抱っこを続けることになる。
抱っこするのにも慣れた。
腕の力がないから自然とお腹で支えている。
さすがに歩き続けると疲れて、一応、靴を履かせているし、いいかなと彼が買い物をしている間に恭太をおろす。
倒れないようには支えて。
一瞬手を離してみたり、立て立てとやってみるのはいつものことかもしれない。
つかまり立ちでもしてほしい。
恭太を道の片隅で訓練。
恭太は立った。
私の腕を掴んで、確かに立った。
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