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声にならない、言葉にもならない悔しさは、いつもいつも私の中にある。
何もしてあげられないこと。
こんなことしか、もうできないこと。
もっと、ああしていればよかったとか、こうしていればよかったとか、そんなものが心の中にある。
骨と皮だけのような、彼の手を握って、ただ寄り添っている毎日。
テレビの中はいつもと変わらない。
なごなごと。
のんびりと。
ほのぼの幸せだなと。
そんな毎日を繰り返す。
広い病室には泊まることもできて、恭太も一緒にとはさすがにいかないから、お母さんのご迷惑を考えつつも恭太を預けて、たまに泊まる。
ベッドは他に用意できるけど、そのベッドで横になることもなく、彼の隣で眠る。
明日にはもう…。
目が覚めたらもう…。
そんな不安を持つ毎日。
だから、あまり離れたくない。
眠ることも彼の手を握っていないとできそうにない。
彼の車はもう私の車のようになっている。
運転も慣れて、病院から家に帰る。
彼の服やタオルの洗濯をして、私もお風呂に入って着替えて、縁側をどれくらいぶりかに開けて、一人、座ってみる。
子育てしなきゃいけないのに、お母さんにお世話になりっぱなし。
彼のそばにいても何もできないのに、彼のそばにいたいばかり。
それを思うと、溜め息が出る。
病院からいつ連絡がきても、すぐに出られるように携帯ばかり気にしてしまう。
洗濯物を干し終わったら、また彼のところへいこうと思っていた。
着替えもタオルも持っていってあげなきゃいけないしと、理由をつけて。
結局はただ私がそばにいたいだけ。
ここにいると思えれば安心する。
携帯の着信音が静かな家の中に響いて、びくっとした。
近づいてみると、間宮さんからで。
少しほっとして、電話に出る。
お見舞いにいってもいいのかという電話だった。
彼は緩和ケア病棟に移って少しすると、携帯の着信に出なくなって、メールも返さないようになっていた。
彼を心配してくれる気持ちはわかっているけど、彼の意思を尊重して、私はお気持ちだけでと断った。
彼の今の姿は…あまり誰かに見せたいものでもない。
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