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彼と知り合って5年目。
結婚記念日で恭太の誕生日あたりが最期と言われていた。
5回目の花火があがって、その花火が終わる頃に彼はその命の灯火を消した。
私は彼の手を握っていた。
命というものをよくは理解できていない恭太と一緒に。
ずっと。
医者に言われたあと、がんばったねと声をかけて、少し伸びていた白髪混じりの頭を、彼との約束どおりに撫でた。
彼の遺影はおじいちゃんの仏壇に置かれた。
納骨は49日。
骨壺が置かれたそばで、私は仏壇に手を合わせる。
恭太も私の真似をして手を合わせて、私にこれでいいか視線で問いかけてくる。
「だめ。お父さん、見守っていてくださいってお願いしなきゃ」
私が答えると、恭太は遺影の中の彼を見て、困ったような顔を見せながら、
「…おとうさん、みまもっていてください」
なんて、きっと意味もわからずにちゃんと大きな声で言った。
私は笑って、恭太は私が笑ったから喜んだ顔を見せて自慢げ。
彼によく似ている表情。
私はわしわしと恭太の頭を撫でて、いつもの生活へと戻る。
家を出ないといけないと思うと、お母さんに言ったところ、そうねと軽く言われたときは、本当にかなりショックだった。
そうなんだけど、孫はかわいくないですか?と、いい子に今のところ育ってくれていると思うんですけどと、支援を求めるわけじゃないけど、悲しくなって思った。
ただ、お母さんがそうねと言ったのは、そういう意味でもなく。
彼は私にまたサプライズを残していた。
予想できそうなものだけど。
お父さんに自分の設計した家を私の知らない間に建ててもらっていて、私の誕生日には完成予定。
彼の残したお金はすべてお母さんに渡そうと思っていたのに。
すべて家を建てることに使われていた。
せめて生命保険は…と思ったら、お母さんはこのお金で恭太と私を養うとか言ってくれた。
「お金目当てで結婚したんじゃないんですっ」
私は必死になって言って。
「金銭目当てでいいじゃない。孝太が杏奈さんに残すって決めたんだから。経営傾いたら杏奈さんに助けてもらうでいいでしょう?手をつけたくなかったらつけなくていいけど、恭太は飢えさせないでね」
……おばあちゃん、お小遣いちょうだいも…言わせたら恐ろしいことになりそうだ。
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