夕暮れスクールDays

2/3
前へ
/46ページ
次へ
-東京、某高等学校- 「でさー」 「キャハハなにそれありえなくない?」 「マジマジ、マジなんだってー」 放課後、夕暮れの差し込む教室の隅の席にて3人の女生徒が談笑している。  内容は主に日々の学校生活や、彼女達やクラスメイト達の色恋沙汰についてである。 「ねぇねぇ2人は『蟲姫』の噂って知ってる?」  女生徒の一人『ユキ』は椅子を逆向きに座り、何気なくそう前方の2人に問う。  一人は強気な雰囲気な長髪の少女『アメ』。  もう一人は眼鏡をかけた大人しい少女『ミゾレ』である。 「ムシヒメ?」  2人の友人は『噂』を知らぬようで、互いに顔を見合わせて首を傾ける。  そして2人の反応を見ると、ユキはニヤニヤと笑みを浮かべて得意げな表情となり『蟲姫』の噂を語り始めるのであった。 「『蟲姫』というのは下水道の奥深くに住んでいるお姫様で、自分のとこに来たヒトの『願い』をなんでも叶えてくれるらしいよ。しかも超~美人で、真っ白なドレスを着てるんだってぇ。」  ユキは目を輝かせ、嬉々としてその『噂』を語っていた。  彼女はこういったオカルト的な話が好きで、一時は『オカルト研究会』なる部を新設しようとした程である。 「ふーん……私だったらその『蟲姫』様に超絶格好良い彼氏つくってもらおうかな?」  アメは両手を頭の後ろで組みつつそう言う。 「アメちゃん、この前彼氏に振られちゃったもんねぇ。」  アメの発言に対し、おっとりとした口調でミゾレは言った。 「うっせ。」  アメは恥ずかしげに顔を赤らめ、ミゾレから顔を逸らすように頬杖をつき窓の外を眺める。 「おいおい~そこは突いてあげるなよ~本人だって気にしてるんだから。」  ユキはニヤニヤと微笑み、そっぽ向くアメの顔を覗き込む。  ミゾレもまた、そんな2人の様子を微笑ましく眺めていた。 「ま、この手の話にありがちだけど『蟲姫』は『願い 』を叶える代わりに、その人の『大事なモノ』を奪ってしまうんだってぇ。」 「『大事なモノ』?」  ミゾレはキョトンとした様子で首を傾げ、ユキを見る。 「例えば『目玉』とか!!」  こちらを見つめるミゾレに対し、ユキは指でブイサインを作り、自らの両目を指す。 「えぇ~怖ぁい。」  ナダレは口を押さえ、ユキのアクションに同調するように声をあげる。
/46ページ

最初のコメントを投稿しよう!

43人が本棚に入れています
本棚に追加