第三話

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 年齢の高い、貴族か英国紳士のような、独特の雰囲気を纏った人が、そう説明してくれた。正確に言えば警察に遺体を搬送されて、遺体を引き取るための手続きなどを行い、遺族に引き渡されるのが常識だ。  しかし、おじいちゃん先生と言うこともあってか、内容を派手にすっ飛ばしていた。彼が白衣を羽織っていることから、医者であることが分かった。  どうみてもパリッとしたスーツにシルクハットとステッキが似合いそうで、白衣がどうにも妙な感覚があった。私はその違和感に思わず吹き出しそうになった。 「何を考えれば、第一声が他人の遺体に関することになる?」  下手をすれば死にかけていたというのに、自分をそっちのけにしていたことを指摘されてしまった。私が何も言い返せないほど、彼は呆れ果てていた。
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