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そんで、俺は妹…いや、なんでもない。忘れてくれないかな。
…禁術の存在を知った俺は、長い旅を盗みを続けながらなんとかかんとかやってきて、やっとここまでたどり着いたって訳さ。
そう、肝心なのはここからの話だ。
俺の中での屋敷のイメージはな、広い空間に数人の使用人を雇ってるくらいで、セキュリティ的にはガラガラで…執事とかも居て、優雅な生活を送る場所というか、もうちょっとなまっちょろいと思っていた…。だが、一歩進入してみると、どうだい?想像を絶する程屈強な男達が館の中を徘徊している。…上等なスーツがはちきれそうだ。
俺は盗みで旅を乗り越えてきたとはいえ年季が入っているわけでも、特別足が速いとか、とんでもなく強いってわけでもない。今までは運が良かっただけなのかもしれない。この屈強な男達を見ていると、強くそう思うよ。
館に進入してすぐに屈強な男の1人にみつかってしまい、わき腹に一発、拳を貰ってしまってな。いや…貰ったといっても、少し掠っただけなんだが…わき腹に異常なまでの痛みを感じるんだ。大袈裟じゃない。それで今俺は窓際のカーテンの裏に身を隠してるって訳さ。
はあ…俺の人生はこれまでかもしれないね。カーテンから一歩でも出てみようものなら、ボッコボコにされるのは目に見えてるね。わかるよ。
いっそこの窓から飛び降りて逃げてしまいたいよ。…ここは二階だけど、飛び降りたら両膝がやられるってことだけは、流石の俺でもわかるさ。
窓…窓…かあ…
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