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「二つ目の家宝…それはわたくしの中に在ると言われております…。」
「…いや、うん。…え?…ああ、娘が一番のたからもの!って言う奴かい?…なる程ね、俺にもわかるよ。俺にもかつて妹が居てな…」
「いいえ!そうではございません!私の中に…いらっしゃるのです!…水晶の女神が!」
ははは…何を言い出すかと思えば水晶の女神とはね。確かに水晶の女神は存在する。…いや、存在していたと言うべきか。しかしそれは何百年もの昔の話だ。今でも絵本や書物として後世に伝えられてる。
その絵本の内容というのは、…前半は忘れてしまったが、最終的には女神は大災害から世界を守る為に、世界に溶け込むように消えていったとか、神秘的な力で大災害の力を抑えてるだとか、そういう内容だったと思う。それがなんだい?この年端もいかぬ少女の中に居るっていうのかい?
「…悪いけど、信じられないね。君の中に女神が居るって?それじゃあ世界は誰が守っているんだい?それに君がそんな力を持っているとも思えない。思い込みだとか…嘘でも教え込まれたんじゃないかい?」
「嘘ではございません!わたくしは嘘など言いません!」
「あー!静かに!ばれてしまう!俺がここに隠れている事がばれてしまう!」
俺はそっとカーテン下の隙間から様子を伺うが、幸い人影は見当たらない。…が、この少女を放っておいて良いのだろうか?いや…この子には俺の存在はばれているし…あれ?これってもう駄目なんじゃ?
「嘘ではございません!それでは証拠をお見せ致します!」
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