雪の日の別れ

3/15
前へ
/216ページ
次へ
未来との電話が終わり、俺は荷物の整理を始めた。 俺は明日、旅だつ。行き先は…まだ決めてない。でも、貧困の国へ行くつもりだ。そこで色んなことを学んで今後の会社にいかす。 コンコン… と、ノックがされた。 「社長、私です。」 「入れ。」 入ってきたのは坂田だった。 「飛行機のチケットが取れました。」 「どこだ?」 「カンボジアです。」 カンボジアか。あそこは学校も少ないし年々、栄養失調で子供が死んでいる。 俺になにが出来るかって言われたらまだ分からない。でも、見て感じてなにか得られれば俺は充分だ。 「…今日、未来に会ってくる」 「えっ…まさか社長…!」 「違う。未来に別れを言ってくる。アイツは日本でパティシエをやるんだろ?俺はしばらく戻ってこない予定だし。」 「……本当にいいんですか?」 「いいもなにも、もう起こったことは覆せない。仕方ないんだよ、これは。」 そう、俺たちは双子。 その事実は変えられない。 そして、俺が未来を傷つけたことも変わりはない。 こんな俺なんて会いたくないはずなのに、会ってくれる自体感謝するべきなんだ。 アイツ…どんだけ優しいんだよ。
/216ページ

最初のコメントを投稿しよう!

20人が本棚に入れています
本棚に追加