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コンコンコン…
「……はい?」
「未来、入っていいかしら?」
「どーぞ。」
母親が入ってきた。
今となってはこの人をどう呼べばいいか分からない。
「荷造りはどう?」
「順調だよ。」
「そう……」
それ以上、会話が続かなかった。
静かな部屋に時計の針だけが響く。
「…母さん?」
その時、父親もやって来た。
「なんだ、手伝ってたなら言ってくれれば良かったのに…」
「そういう訳じゃないのよ?ただ、未来と過ごす時間は最後だから…。」
どうして?どうしてなの?
「…どうしてそこまで私のことを心配するの?」
だって私、他人の子なんだよ?心配する意味なくない?
「私は2人の子供じゃない。この30年間、過ごしたことなんて幻に近いんだよ?」
私には分からない。ここまで心配される意味が。
他人の子なのに。私と血が繋がってないのに。
「なにを言っているの!あなたは私たちの子供よ!!」
突然、大きな声を出した母親。
見ると涙を流していた。
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