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「ふわぁ~……」
バカみたいなあくびをして新聞を開く。
「そんなあくびして、パティシエの女王とは思えないわね。」
キッチンで朝食の準備をしてくれているのは中川愛佳(なかがわあいか)
彼女は実家がパン屋さんをやっていて、継ぐためにこのパリで修行をしている。
私とは高校からの親友で今は一緒に住んでいる。
「てか、パティシエの女王ってなに?」
聞いたことないんだけど…。
「なにって…その新聞に書いてあるでしょ?日本人初の快挙だって。それで、未来の異名…みたいなものじゃない?」
いたずらっぽく笑う愛佳をよそに私はそのページを探していた。
「うわ…ほんとだ。なんか恥ずかしいなぁ。」
新聞には大きく昨日の記事が書かれていた。
「なに言ってるの。未来の努力の証でしょ?持って帰って親に見せなさい。」
愛佳はそう言ってコーヒを片手に携帯をいじりだした。
「朝食出来たよ?食べよ。」
まだ記事が気になる私は次のページを開いた。
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