aogami

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翌日、先生と顔を合わすのが、何だか気まずかった。 「あの…」 「そういえば…」 声が重なる。 「何ですか?君から言いなさい。」 先生は僕から目をそらした。 「春奈は…あ、この前うちにいた女の子…春奈っていうんだけど、あれは、彼女とかそういうのじゃないんです。」 「君は彼女でもない子と…するんですか?」 何だよ、人が下手に出てるのに! 「誤解です…ノート。そう、ノートを見せて欲しいって言われて。」 「ほう。…まあいいでしょう。」 あっさりだな。 先生が望むなら、彼女とどんな事をしていたのか詳しく教えてやろうと思ったのに。 「では今日は数学から始めるとしましょう。」 「待てよ。先生もさっき何か言いかけたでしょ?」 ねぇ先生。 答えてくれ…あの日。 あの雨上がりの夜。 玄関に男物の靴があった。…で、寝室には男と女がいた。 先生は、友達か誰かに無理に頼まれて、寝室を貸していた…それだけなんだろ? 先生は、女の声を聞きたくないから、外へ出ていた。…そうなんだろ?
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