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僕は数学に真面目に取り組むふりをしながらも、先生をちらちら見ていた。
ダメと言われたら、盗み見るくらいしか出来ない。
先生はその日、心ここにあらずと言うか、ほとんど口をきいてくれなかった。
「雨…。」
帰り際にまた雨がぽつぽつ降ってきた。
僕は期待したように先生を見る。
「小降りですね。…これくらいなら走って帰れば濡れないでしょう。」
「鬼だな。」
「傘を忘れてくる方が悪いんです。」
ふん。
風邪を引いてこじらせたら、先生のせいだからな。
僕は雨の中、飛び出した。
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