aogami

13/40
前へ
/40ページ
次へ
僕は数学に真面目に取り組むふりをしながらも、先生をちらちら見ていた。 ダメと言われたら、盗み見るくらいしか出来ない。 先生はその日、心ここにあらずと言うか、ほとんど口をきいてくれなかった。 「雨…。」 帰り際にまた雨がぽつぽつ降ってきた。 僕は期待したように先生を見る。 「小降りですね。…これくらいなら走って帰れば濡れないでしょう。」 「鬼だな。」 「傘を忘れてくる方が悪いんです。」 ふん。 風邪を引いてこじらせたら、先生のせいだからな。 僕は雨の中、飛び出した。
/40ページ

最初のコメントを投稿しよう!

5人が本棚に入れています
本棚に追加