aogami

16/40
前へ
/40ページ
次へ
「本当に助かります。…この子達、家にいても悪さばかりするんです。」 昼近くになり、二人の母親がようやく迎えに来た。 「いや、二人とも大変御行儀が良くて、よく躾(しつけ)されていらっしゃるなと感心していたのです。」 「まあ、ありがとうございます先生。」 僕はドアの隙間から、二人の母親を見た。 若く、綺麗な母親だ。 あの人が先生の彼女かな。 「じゃあな、由良!」 「うん、じゃあな。ちゃんと宿題やれよ!」 僕は卯月と葉月に手を振った。…可愛いもんだ。 「昔の由良を思い出すね。」 先生がクスリと笑った。 「君はあの頃から意地っ張りで、そのくせ寂しがり屋だったな。僕が大学に戻るとなると、部屋にこもりっきりでついに出て来なかった。…懐かしいな。」 何だよ、急に。 僕はそんな事、覚えてないぞ。
/40ページ

最初のコメントを投稿しよう!

5人が本棚に入れています
本棚に追加