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「本当に助かります。…この子達、家にいても悪さばかりするんです。」
昼近くになり、二人の母親がようやく迎えに来た。
「いや、二人とも大変御行儀が良くて、よく躾(しつけ)されていらっしゃるなと感心していたのです。」
「まあ、ありがとうございます先生。」
僕はドアの隙間から、二人の母親を見た。
若く、綺麗な母親だ。
あの人が先生の彼女かな。
「じゃあな、由良!」
「うん、じゃあな。ちゃんと宿題やれよ!」
僕は卯月と葉月に手を振った。…可愛いもんだ。
「昔の由良を思い出すね。」
先生がクスリと笑った。
「君はあの頃から意地っ張りで、そのくせ寂しがり屋だったな。僕が大学に戻るとなると、部屋にこもりっきりでついに出て来なかった。…懐かしいな。」
何だよ、急に。
僕はそんな事、覚えてないぞ。
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