aogami

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「今、君の父さんから電話があってね。」 先生は僕を拒絶するように、胸をトン、と押した。 「美紗さんが仕事中に倒れたらしいんだ…過労だな。心配はいらないが、念のため一晩だけ病院に泊まるらしいよ。…君を、預かってくれと言われた。」 母さんが…。 休みなしで働きづめだったもんな…何がそんなに楽しいのか分からないが。 「由良、大丈夫ですか?」 僕が暗い表情をしていたからだろう…先生は心配そうに、僕の顔を覗きこんでいる。 「美紗さんは、元々丈夫な方だからね。自分の体力を過信しすぎる嫌いがある。…少し懲りたでしょう。由良、今夜は君の好きなものを作ってあげよう…心配いらないよ。」 別に僕は母親の事など心配してはいない。 休めと言っても、休まない人だから。 いいクスリさ…。
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