aogami

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結局、僕が買い出し係となった。 先生の懐具合を考え、安上がりにカレーと言ってみた。 「…なのに、牛肉かよ。ビーフカレーか。」 僕の両親に気兼ねしてるんだろう…僕は先生と一緒の食事なら、何でも良かったのに。 スーパーで買い物を済ませると、バス停の前に、春奈が立っていた。 ケータイに夢中で、僕に気がついてはいない。 すると、向こうの方から同じ高校の先輩が走ってきた。 春奈は彼が遅れてきた事をなじり、それでも手をつないだ。 先輩は春奈の耳元で何か囁くと、彼女は下を向いて赤くなっていた。 さっきの先生みたいだな、と思った。 それ以外は何も感じない。 僕は見なかったふりをして、道を急いだ。 はっきり分かったこと。 僕は春奈を愛してはいないし、あの軟派で有名な先輩と彼女がこの後どうなろうと、自分には無関係だと思った。 そして、僕はもう2度と春奈とそういう事はしないだろう、と感じた。
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