aogami

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また雨だ。 今年はよく降るな。 (…由良、怖いなら、僕の手を握っていなさい。) …先生。 もう、あんな事はないかもしれないな。 (大丈夫だよ。君が眠るまで、僕が守るから。) そう言って先生は僕を抱き締めたんだ。 僕は…あの時から、いやもしかするとずっと前から、先生の事ばかり見ていた気がするんだ。 雨が本降りになってきた。 見上げると、まるで僕を中心に雨の筋が光の糸みたいに地上に降りそそいでいるかに思えた。 …これが恋なら、何て苦しいんだろう。
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