aogami

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今日は朝から暑い日だった。 朝食を先生ととった後、病院に行くように言われたが、断った。 やがて二人のうるさい子供たちがやってきて、僕に遊んで、とじゃれついてきた。 「勉強しに来てるんだろ?…卯月、昨日の宿題はやったのか?」 …やってないな。 「僕はやったよ。」 葉月が誇らしげにノートを見せてくる。 「どれ?…すごいな、ほぼ合ってる。」 「卯月はね、ずっとサボっててゲームばかりやってたよ。」 「チクるなよなー。」 僕は二人のやり取りを微笑ましく思いながら、結局その日も勉強を見てやった。 「由良、お疲れ。美紗さん、退院したって。帰っておあげ。」 先生は僕の頭を子供にするみたいに撫でると、台所へ消えた。 退院したって事は、大丈夫って事だろ。 すぐに帰らなくてもいいじゃないか。 ぶつぶつ言いながらも、僕はスニーカーを履いて、帰途についた。 母親は少しやつれてはいたが、元気そうだった。 「熱中症だって。」 「馬鹿じゃないの。事故管理がなってない。」 僕は冷蔵庫からジュースを取り出して、グビリと飲んだ。 両親は肩をすくめている。
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