平凡な一生、一瞬の輝き

4/12
前へ
/285ページ
次へ
私はまだ死んじゃあいない、人生を変えるんだと。 そう一念発起したのは9年前、私がまだ、前職の大手居酒屋チェーンの店長だった頃だ。 水面下で準備を進めて、半年後のある晩、妻に切り出した。 「俺は独立しようと思う。」 「アンタが?」 「ああ、その為の準備も…」 「バカじゃないの!?アンタみたいな平凡な人間に才覚なんてある訳ないわよ!」 恐妻への説得を暫く試みたが、聞く耳などもたない妻を説得する気力など…私には無かったのだ。 早々と独立の夢を諦めて、続く店長としての平凡な日々。 それから半年後だった。 店舗の閉鎖を突然言い渡されたのだ。 不安などは無かった、店舗閉鎖でも他店舗での店長業務が続くと思っていたからだ。 ところが…私が店長として移動出来る店舗など無く、暫くは一介の社員の扱いとなった。 勿論、給料は減給。 妻は私を怒鳴った。 「そんな安月給で生活出来る訳ないじゃない!!」
/285ページ

最初のコメントを投稿しよう!

50人が本棚に入れています
本棚に追加