平凡な一生、一瞬の輝き

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黒のセダンが大きな倉庫の前に停まった。 それに合わせて離れた位置に私も車を停める。 口元に人差し指をあて、男はヒソヒソと話し出した。 「運転手さん、いいですか、絶対に此所を動かない様に。」 私は深く頷いて見せた。 男は静かに車を降り、物陰に隠れながら倉庫に近付いて行く。 男の後ろ姿を固唾を飲んで見守る……… 倉庫に近付く男の死角から近寄る影が見えた。 危ないっ!彼を助けなくては! 咄嗟の行動だった。 武器になりそうなのは… 毎朝自分で作る、ご飯に海苔だけを敷いた弁当と、水道水入りの凍らせたペットボトル。 それらを入れたナップザックを手に、私もソッと音をたてない様に近付いた。 早くしなければ彼が危ない。 彼にコソコソと近付く男が手を振り上げた。 私は間に合うのか!? 相手目掛けて、思いっきりナップザックを降り下ろした。
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