50人が本棚に入れています
本棚に追加
黒のセダンが大きな倉庫の前に停まった。
それに合わせて離れた位置に私も車を停める。
口元に人差し指をあて、男はヒソヒソと話し出した。
「運転手さん、いいですか、絶対に此所を動かない様に。」
私は深く頷いて見せた。
男は静かに車を降り、物陰に隠れながら倉庫に近付いて行く。
男の後ろ姿を固唾を飲んで見守る………
倉庫に近付く男の死角から近寄る影が見えた。
危ないっ!彼を助けなくては!
咄嗟の行動だった。
武器になりそうなのは…
毎朝自分で作る、ご飯に海苔だけを敷いた弁当と、水道水入りの凍らせたペットボトル。
それらを入れたナップザックを手に、私もソッと音をたてない様に近付いた。
早くしなければ彼が危ない。
彼にコソコソと近付く男が手を振り上げた。
私は間に合うのか!?
相手目掛けて、思いっきりナップザックを降り下ろした。
最初のコメントを投稿しよう!