君の隣で。

3/3
前へ
/3ページ
次へ
でも。 やっぱりもやもやする。 別に、遊馬の交流関係なんて私の知ったことではないのに。 「そう…。手品師なんて、すごいね」 手品師に目をやる。 手品自体は見応えのあるものをしてくれているけれど、さっきと見え方が違うように感じる。 「お前、もしかして、ああいうのがタイプ?」 突然、遊馬がふざけた様子でからかってきた。 勿論、おふざけで、単なるからかいだってことはわかっていた。 でも、私はそれを軽く受け流すことができなくて。 「そ、そんなんじゃっ……ない」 多分、今の私は顔が真っ赤だ。凄く暑い。遊馬を直視できない。 勢いだけで言ってしまったから、収拾もつかないし、遊馬も戸惑っているだろう。 「んなこと、わかってるっつーの」 ぽんっ、と私の頭に乗せられた暖かい手は私を落ち着かせてくれた。 少しだけ落ち着いて視線をあげると丁度遊馬と目が合って、遊馬は無邪気な笑みを浮かべた。 「…ばか」
/3ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1人が本棚に入れています
本棚に追加