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でも。
やっぱりもやもやする。
別に、遊馬の交流関係なんて私の知ったことではないのに。
「そう…。手品師なんて、すごいね」
手品師に目をやる。
手品自体は見応えのあるものをしてくれているけれど、さっきと見え方が違うように感じる。
「お前、もしかして、ああいうのがタイプ?」
突然、遊馬がふざけた様子でからかってきた。
勿論、おふざけで、単なるからかいだってことはわかっていた。
でも、私はそれを軽く受け流すことができなくて。
「そ、そんなんじゃっ……ない」
多分、今の私は顔が真っ赤だ。凄く暑い。遊馬を直視できない。
勢いだけで言ってしまったから、収拾もつかないし、遊馬も戸惑っているだろう。
「んなこと、わかってるっつーの」
ぽんっ、と私の頭に乗せられた暖かい手は私を落ち着かせてくれた。
少しだけ落ち着いて視線をあげると丁度遊馬と目が合って、遊馬は無邪気な笑みを浮かべた。
「…ばか」
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