184人が本棚に入れています
本棚に追加
「なっ?!御陵ッ貴様――」
寮の入り口で鉢合わせした
お堅い風紀委員長サマ。
「その人は、誰だ」
横抱きにした夏樹を目にして
真っ赤になる法の番人。
(真面目だねぇ)
「藍沢ぁ~お疲れさま」
労いの言葉を
ひとことだけかけて
軽くやり過ごそうと
エントランスに
足を踏み入れた瞬間。
「たけるの彼氏でーす」
「なんだとっ!?」
「藍沢違うから。なつきは黙って」
「じゃあ、カノジョ?」
アルコールで潤む瞳に
見上げられながら。
「たける?」
首をかしげる夏樹に
苦笑いして溜め息を吐いた。
(あーあ。めんどくせぇガキ)
「そう、俺の彼女~」
「カノジョだよーオレ」
「なっ!?待たんか――」
(明日は『風紀』呼び出し確定かぁ……サボり決定だねぇ)
堅物に向かって
無邪気に手を振る夏樹を見下ろした。
最初のコメントを投稿しよう!