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「な、つ……き」
「未経験」
「夏樹っ」
「……当たり?」
組み敷いているのは俺なのに。
(当たりだよ)
心が跪かされるような
酷い錯覚に陥れられて。
「ははっ……冗談」
「……じゃないよ」
「――っ」
まっすぐな瞳に
心臓が、鷲掴みにされた。
「オレを抱いてよ」
「は……放せ、よ」
抵抗が意味を持たないコトを
初めて――知った。
「尊は、興味無い?」
「酔っ払いには無い」
返す声に、
動揺の色が混ざる。
(あーあ。ダサいねぇ)
それに気付いて、
自嘲の笑みを零した。
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