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「女抱いて来たでしょ」
「何で」
「香水」
「チッ……」
纏わりついたオンナの残り香。
(目ざといねぇ)
長いスカルプを思い出して
小さく溜め息を吐き出した。
(気分わりぃ)
絡み合う視線に
言い当てられて
チクリと胸が痛んだ。
「尊って悪い子?」
「うるさいよ」
「図星?」
「あーハイハイ」
半分、上の空で。
ポタリ――。
髪から落ちて
夏樹を濡らす
雫を無意味に見つめる。
「今日は無理だね」
「何が」
「オレを――抱くの」
「明日も抱かないから」
「尊シャワー浴びたい」
(ホントにこの酔っ払いは!)
「ほら、起きて」
「冷たくて気持ちいい」
「夏樹……は?」
引き込まれる腕と
背中に感じる大理石。
「ね?冷たいでしょ」
あっけない程に。
「――っ」
馴れた仕草で
入れ替えられたカラダが。
(どうかしてる)
甘く――疼いた。
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