第十二章 動き出す者達

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「何なの……これは……」 亜矢が手を組んで額に押し当てる。 「ふざけんなよ! ……本当に何なんだよ、これ!? なぁ、何なんだよ!?」 誰に言うでもなく、自分の中に湧き上がる憤りをひたすら吐き出す遼平。 「………………」 宗一郎から携帯を受け取り、その画像を無表情に見つめる奈々。 (…………まずいな) そんな皆の様子を、悠斗が一人冷静に観察していた。 ダメージを受けるだろうとは思っていたが、まさかここまで全員がショックを受け、場が混乱するとは思っていなかったのだ。 「こうなる事は予想できていたじゃない」 沙羅が悠斗の隣に立つ。 「だから最初から放っておくべきだったのよ」 沙羅が部屋の中心に向かって一歩踏み出す。 「告げるべき事は告げたんだから、もう満足したでしょ? 騒ぎに巻き込まれる前に、さっさと抜けさせてもらいましょ」 悠斗にそう言うと、沙羅が全員に呼びかけ始めた。
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