第十二章 動き出す者達

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だが、ざわついた皆を当たり前の様に沙羅は無視して、悠斗の手を掴んだまま、またも歩き出す。 「待ちたまえ!」 「っ!?」 その時、佳奈美がチョップで二人が繋いだ手を切り離しながら叫んだ。 「…………何?」 「ひっ」 沙羅がチョップをされた手をさすりながら佳奈美を睨み、睨まれた佳奈美が自分から喧嘩を売った癖に沙羅の視線に怯える。 「まぁまぁ、そんなに睨むなよ、月島」 宗一郎が二人の間に割って入る。 「月島の言い分は理解できる。けどな? わかっていると思うが、もうこんな深夜だ。月島が5号館からここまで来るのにどれ位かかった? そして、ここから町までにどれだけの距離があると思う? はっきり言って、この暗闇の中、徒歩でここから町まで向かうほうがずっと危険だと俺は思うぞ?」 宗一郎が、頼りがいのある笑みを浮かべる。 「だったら、全員で一箇所に固まって朝まで待って、そこから町へ出発したほうが安全じゃないか?」 「…………」 沙羅が、じっと宗一郎に目を合わせ、冷静に話を聞いている。
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