第1章

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放課後になると空き教室で1人、 時間を潰すのが私の日課。 この教室は普段使う教室から離れており、人が来ることはなく、そんな時間が自分にとって憩いの時でもあった。 最近は、空き教室前の廊下からグラウンドを見て時間を潰している。 みんな部活に集中しているだけあって、2階から見下ろす私に気づく人はいない。 「みんな熱心だなぁ…」 正直、帰宅部である私は何故そこまで打ち込めるのかがわからないが、毎日見ていると羨ましくもなってくる。 そんなある日、私に気づいてくれた人がいた。 名前はまで知らないが、いつもサッカー部の近くに座ってたまに部員と戯れ合っているのを見たことがある。 彼はすることがなく暇だったのだろうか。 何気なくこちらを見上げ手を振ってくれた。 よく分からないが手を振り返すとニッコリ笑うのが見えた。 手招きをされ、彼は口パクで「お、い、で」と言ってくれた。 「私…?」 と周りを見ると、やはり自分しかいない。 ここは2階だ。 上の階だろうか? 自分を指さし、首をかしげてみると、大きく頷いてくれた。 とりあえず、行ってみることにした。
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