第1章

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 王家の長い廊下を歩いて、ひとつのこれまた大きくて煌(きら)びやかな扉の前に立った。 ここは、この王家の主、つまり王の居る部屋である。王家の中の王のため特別に用意された部屋だ。ここには、代々の王が寝起きし政治を仕切り仕事をしてきた場所なのだ。   今は、今の王、スバル王の部屋としてそこに君臨する。誰にも邪魔されない孤島の王のようにそこに居る。もし、その場所が脅かされることがあったのなら、それは間違いなく俺のせいと言えるだろう。彼のすべては俺のためにあり、彼もまた俺で生きているようなものだ。   自信過剰? ははっかもしれない。でも俺は少なくとも彼居てこそ生きている人間だと思っている。 xxx  コンコンッ… 「いる? スバル」俺は、ドアをノックしながら呟いた。  しばらく沈黙が続いた後、部屋の奥から足音が近づいてくるのがわかった。 この沈黙が、怖い。昔は何にも考えず飛び込んでいったものだが、あのこと(他の男を連れ込んでいた)があってからは、ドアを開けるのが億劫になってしまった。   俺も年かな…やっぱ、瞬間移動で帰っちゃおうかな。俺の部屋に。 …と思っている間に、王室の扉が開いた。 彼は、疲労のピークのような機嫌の悪いような顔で出てきた。もしかしたら、横になって休んでいたとこだったのかもしれない。
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