アペナス①

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掛け軸に触れた左の頬に些細な気持ち悪さを感じながら。 「おい、頭乗ってるところまだ乾いてないんじゃね」 生徒会長のこの野郎様。 的・確・です。 「お、間違ったのじゃな? ではワシの出番じゃな」 目の前のパイプ椅子から聞こえるその声で俺は粘り気のある顔を上げた。 瑠衣華の手には既に白のペンキがベッタリとついた筆を、ブルーシートにインクを垂らしながら近づけてきた。
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