アペナス①

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「腕止まってる」 生徒会室には今四人の生徒がいる。 たった今の話だ。 決して自分は手伝おうとは微塵もしていないスローガンの制作作業を唯一進行している、同い年の生徒会役員(雑用)である僕の手が数秒停止していたことを指摘したのが、我らが生徒会長、柴島光(くにじまこう)である。 しかし僕は動じない。 「ああ、悪い悪い」 素直に言おう、慣れているわけではない。 何も感じていないわけではない。 パイプ椅子に座る女子の目が怖いわけではない。 僕が入り口に飾ったいい感じの風鈴のような、無残な姿になるのが怖いわけではない。
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