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こんな路上の混雑を、
超高層のビル群は、
両翼を広げ無言で包み込んでいる。
アンバランスな調和。
大きな「静」と、
こまごました地上の「動」が融合し、
かもし出す不思議な空間。
限りある生命の活動の全てを、
無言で見守る大宇宙の
何者かの気配。
ミッドタウンの駐車場にハンスさんの車を止め、
イエローキャブに乗り換えて、
私たちはダウンタウンへ向かった。
日常とは違う物憂げな刺激を
いとおしみながら、
昔の若者たちは
そっと腕をからませた。
ビレッジの静かな通りを
歩きながら しゃべり続ながら、
やがてくる別れの時を
あえて意識から遠ざけた。
ここがどこなのか、
自分が何者なのか、
今の私は無国籍。
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